DENVERⅡ(デンバー発達判定法)の使用方法

DENVERⅡとは?

DENVERⅡは世界54か国で採用され、15か国以上で標準化されている国際的な発達スクリーニング法です。

・名前の由来は、原著の標準化にあたって、定点をコロラド州デンバー市およびその周辺地域においてサンプル収集したため、この名前がついたよ。

・日本では、公益社団法人日本小児保健協会によって標準化されています。

DENVERⅡは子どもの行動全体を主観的に評価し、「自分の能力を十分に示したか否か」を大まかに判断することが可能です。

「その子どもの発達に、本当に問題があるのか」「発達のどの部分が遅くなっているのか」などを確認することを目的としています。

・評価する内容は、①個人ー社会②微細運動ー適応③言語④粗大運動4分野(領域)に大別されており、各項目ごとに<25%><50%><75%><90%>達成率を示す「標準枠」が階段状に図示された用紙を使用します。



 
遠城寺式は①運動(移動運動と手の運動)、②社会性(基本的習慣と対人関係)、③言語(発語と言語理解)の3分野(6領域)だったね。
 
DENVERⅡは小児の日常診療、乳幼児健診、育児相談など、様々な場面で使用されてるよ。

日本における歴史

・DENVERⅡの元になった評価は、アメリカFrankenburgらが考案し、上田礼子らが標準化した日本版のデンバー式発達スクリーニングテスト(Denver Developmental Screening Test;DDST)です。

・初版のDDSTは世界各国で活用され、日本版DDSTも臨床の場で広く普及しました。

・1990年~、アメリカにおいてDDSTの全面的改訂版が発表され、我が国では版権者から依頼を受けた日本小児保健協会による標準化作業が始まりました。

・2003年~、日本人乳幼児における標準化が完了し、「DENVERⅡ」が出版されました。

 
図にすると、下図みたいになります。ごちゃごちゃにならないようにね。

改訂に伴う観察項目数の推移

 
改良点①…特に言語分野の観察項目数を増やし、DDSTの弱点であった言語発達面に対応できるようにした。
 

改良点②…「親の報告のみ」で判定可能な項目を減らしたよ

DDSTでは約50%弱が報告のみで評定する項目だったけど、DENVERⅡからは約30%ほどの割合になったんだ。

DENVERⅡの特徴

特徴①:容易に習得でき、比較的短時間で実施できます。

特徴②:子どもも両親も判定者も全員が楽しく実施できます。

特徴③:用紙1枚で全体の発達像が見渡せ、各項目の通過率が一目でわかります。

 

 
発達の個人差がわかるだけじゃなく、行動発達の時系列的変化を理解しやすい書式になっているんだね。
 
検査項目ごとに、ある年齢区分で標準化集団のうち「何%の者がその項目を通過しているか」を算出したものを年齢別「通過率」というよ。

特徴④:DENVERⅡは知能検査等とは異なり、行動能力や知的能力を測定する検査ではなく、発達障害を診断するものでもありません。

 

 
元のDDST(デンバー式発達スクリーニングテスト)と比べると、“テスト”という文字がなくなったから、イメージ的に緊張感が減ったね。
 
日本版の標準化や出版等に際しても、「検査ではない」という意志を尊重し、できるかぎり「検査」「試験」「診断」等の言葉を使わないようにしたんだよ。

特徴⑤:「同年齢の子どもと同様の発達段階にあるか」をスクリーニングできます。

特徴⑥:発達に何らかの問題がある子どもを早期発見し、的確な対応につなげる一助となります。

適応年齢と所要時間

対象年齢:1カ月〜6歳

所要時間:短時間で可能

判定用具

①赤い毛糸の玉

②テニスボール

③レーズン

④鉛筆

⑤細い柄のついたガラガラ

⑥小さいプラスチック製の人形

⑦2.5cm立法の色のついた積み木10個

⑧持ち手のついたカップ

⑨白い紙(A4版)

⑩口径1.5cmの縁のある小さな透明なガラス瓶

⑪小さなベル

 

 
レーズン嫌いな赤ちゃんは…?
 
代わりに、丸いシリアルやボーロなどでも良いよ。

使用方法

・予備判定票の実施

①DENVERⅡの実施前に、「予備判定票」を実施する場合があります。

*予備判定票:子どもの現在の発達状態に関する質問票であり、保護者が記入するものです。

0~15分程度で、記入から判定まで完了できます。

*予備判定票には全部で1~89まで判定項目があり、項目1~25が<0~9ヶ月用>、項目26~54が<9~24ヶ月用>、項目55~74が<2~4歳用>、項目75~89が<4~6歳用>の4種類となっています。

②対象の子どもの年齢に応じて保護者に記入してもらいますが、場合によっては2種類を記入してもらうこともあります。

③記入者には、判定票の番号順に記入していってもらい、「いいえ」が3つ以上続いた場合は、それより先の項目を記入しないようしてもらいます。

④判定者は、「いいえ」がついている項目について、90%値で遅れがある場合は年月齢」を○で囲み「遅れ」と、75%値で遅れがある場合は同様に○をつけ「要注意」と朱書しておきます。


・DENVERⅡの使用方法

①対象の子どもの氏名、出生年月日、判定日などの情報を記録票に記入します。

(判定日-出生年月日)で、暦年月齢(後述の“年月齢線”になる)を調べます。

 
1ヶ月=30日、1年=12か月と換算するよ。

“年月齢線”を記録用紙の上から下まで引き、線の上部に判定日を書いておきます。

④項目は一般的に子どもの関与が少なく、楽にできる課題から行います。

 

 

判定者と保護者が話しているとき(報告のみで判定可能な項目について話しているときなど)の、子どもの様子から判定してもよいよ。

⑤観察項目の順番としては、子どもの年月齢線より完全に左側にある項目を各領域で判定します。

⑥その後、右側の項目へと続けていくことで、最初は「楽にできやすい課題」から行うことができます。

*「報告のみで判定可能かどうか」は、項目の標準枠に“R”が表記されるかどうかで見分けられます。

 

 
例えば、この図の青色のところに重なって”年月齢線”が引かれていた場合、対象の子どもと同年齢域にある75%~90%の子どもが獲得している項目であると判断できます。

判定方法

総合的な判定結果

留意点

熟練試験(日本においては講習会が開催されています)を受け、DENVERⅡの正確な実施方法を習得しておくことが重要です。

・できる限り、最も良い判定結果が得られるよう、また保護者から正確な情報を得ることができるように努力することが大切です。

➡特に、子どもや保護者との信頼関係が大切になります。

・子どもがある項目をできなくても、その努力をほめることによって、子どもは自信を持ち、もっと難しい項目をやってみようという気持ちになるため、それを促せるようにします。

・粗大運動項目を実施するための場所、乳幼児を寝かせられるスペース、机や椅子なども必要なので、事前に手配しておきます。

➡子どもや保護者がくつろいでもらえるような環境整備し、保護者同席のもと、子どもが最も自然な行動が引き出されるようにあらゆる努力をすることが重要です。

・子どもの体調やお腹が空いている、機嫌が悪いといった状態では能力を発揮できないため、もっと協力的である日に再評価を行うよう設定が必要なこともあります。

・判定用具を使用する際、子どもが飲み込んだり、目を傷つけたりする必要がないように気をつける必要があります。

・保護者によっては緊張されたり、不安を与えてしまったりすることが考えられるため、DENVERⅡはいわゆる「知能検査」ではないことや、判定項目はすべての子どもが「できる行動」ばかりではないことを、予めわかりやすく説明しておく必要があります。

※使用方法などの詳細については、下記の文献をお読みください。

<文献>
・日本小児保健協会:DENVERⅡ―デンバー発達判定法―,日本小児医事出版社,2003
・清水千生:DENVERⅡの特性と我が国における標準化,小児保健研究,第65巻.第2号,pp216-218,2006
・加藤則子:日本版DENVERⅡによる発達判定法の実践法,小児保健研究,第65巻.第2号,pp.223-226,2006
・河村光俊:日本版デンバー式発達スクリーニング検査,理学療法ジャーナル43巻.1号,pp.49,2009
・小山充道ら:必携臨床心理アセスメント,金剛出版,2008
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