AIMS:アルバータ乳幼児運動発達検査法の使用方法

AIMSとは?

Alberta Infant Motor Scale

➡ アルバータ乳幼児運動発達検査法

AIMSは乳幼児の<粗大運動の成熟度>を観察し、現在の発達状態を判別・評価することができます。

 

 
乳幼児の粗大運動は「出生時~独歩獲得まで」のことだよ。

開発について

・1994年に、カナダの医師Piper理学療法士Darrahによって開発されました。

・標準化サンプルは、カナダのアルバータ州で生まれた 2,202 人の乳幼児により構築されました。

・AIMSの評価項目は、カナダ理学療法士協会の小児部門と、国際的な乳幼児運動発達専門家の協力を経て選ばれました。

検査の目的と特徴

・運動発達面の問題や遅れ成熟度などを早期発見すること。

・定型発達児と障害のある児の鑑別の一助とすること。


・従来の心理学から発展・開発された評価とは異なり、医師と理学療法士によって開発されたことは、AIMSの特徴の1つと言えます。

・検査方法は観察によるものであり、評価・採点が容易にできるように開発されています。

評価時間は20~30分であり、比較的短い時間で完了できる評価です。

 
 
子どもによっては10分程度で確認できるみたいだね。
 
そうだね。評価未経験者(理学療法士)でも、評価の正確性の高さが示唆された報告もあるよ。

・AIMSは「神経成熟理論」「システム論」の発達理論が基礎となっています。

 

 
 
神経成熟理論
 
 
「ヒトは中枢神経の発達によって、運動発達していく」という考え方で、遺伝的要因が強いとされる理論だよ。

 
 
システム論

 
 
人はその周囲を取り巻く環境とともに発達促進されていくという理論だね。

対象年齢

・生後0ヶ月~18ヶ月(1歳半)までの乳幼児


・運動発達の障害、あるいは未熟と診断された乳幼児

・運動発達の未熟、あるいはその疑いがあると鑑別された乳幼児

 

 
発達歴の経時的な記録としてAIMSを使用しても良いらしいよ。

使用方法

①付属のスコアシートイラスト)を見ながら観察評価を行います。

②観察の方法は、対象児に4つの姿勢をとらせ、実際に「指定された動きや姿勢」が可能かどうかを評価します。

 
スコアシートにたくさんイラストが描かれているね。時間かかりそうだけど…
 
全てを実施する必要はなく、対象児の発達レベルに最も適した範囲の項目のみで大丈夫だよ。

4つの姿勢?

①腹臥位、②背臥位、③坐位、④立位4つの姿勢について、それぞれ観察評価を行います。

・検査項目は腹臥位(21項目)、背臥位(9項目)、座位(12項目)、立位(16 項目)計58項目からなります。

・各姿勢ごとに、一般的な定型発達の順序イラストとその検査項目名が表記されています。

・さらに各姿勢の検査項目ごとに、①体重負荷、②姿勢、③抗重力運動に分かれて詳細が記載されています。

 
記載項目の見方については、マニュアルを熟読し、正しい評価を行うための練習しておこうね。

採点方法

▶ 各姿勢や動作の観察を通して、下記のように記載します。

「観察された」項目 Oと記入
「観察されなかった」項目 Noと記入

4つの姿勢を評価中、観察された<最も低い発達><最も高い発達>の検査項目をチェックしておきます。

・各姿勢で観察された<最も低い発達><最も高い発達>の項目の間を「Window」と呼びます。

*この「Window」内の項目については、全ての検査項目を評価する必要があります。

 
 
「Window」内の観察された項目数につき、各1点を加点するよ。
 

・最後にポイントを合計し、AIMSの総得点を算出します。


*得点合計は、パーセンタイル順位に置き換えることができ、標準値との比較が可能となっています。

*結果をパーセンタイル順位で表すことでできるため、対象児の保護者にも比較的受け入れやすい形式となっています。

留意点

・可能な限り、「裸」で評価されるよう環境設定を行います。

・いくつかの評価項目は、子どものポジショニングを設定したり、身体的な刺激を入力したりする必要があります。

・検査姿勢がとれない場合、他動的に検査姿勢をとらせてもよいですが、実際に観察された姿勢・動作のみを評定することを心がけます。

 
「観察された」かどうかは、検査者が実際に自分の目で見て判定するように注意しよう。

・AIMSは観察評価として開発されたため、検査者によるハンドリングは最小限にとどめることが重要です。

AIMSに対する私見

・AIMSは医師と理学療法士によって開発された経緯もあって、リハ職などのコメディカルにとって使いやすい評価となっています。

・実際のスコアシートには、わかりやすいイラストが描かれており、そのイラストを見ながら直観的にアセスメントを進めていくことができます。

・AIMSのマニュアルには、観察評価を行う必要があるAIMSの4つの姿勢ごとに、様々な検査項目の詳細が記載されています。その項目の詳細と実際に観察された子どもの状態を照らし合わせながら評価を行います。

・AIMSは発達障害などの運動発達障害がみられやすい子どもが「どのようにマイルストーンを獲得していくか」について、客観的にアセスメントができるため、運動発達を調べる評価としては有用だと思います。

*使用方法などの詳細については、下記の文献をご参照ください。

<参考文献>
・Piper MC, Darrah J: Motor assessment for the developing infant, WB Saunders,1994

・Darrah J, Piper M, Watt MJ. Assessment of gross motor skills of at-risk infants: predictive validity of the Alberta Infant Motor Scale. Dev Med Child Neurol. 1998 Jul;40(7):485-91
・Ketelaar.M・著、今川忠男・監訳:脳性まひ児と両親のための機能的治療アプローチ.三輪書店, 2007
・Martha C.Piperら・著、上杉雅之・嶋田智明ら・監訳:乳幼児の運動発達検査AIMSアルバータ乳幼児運動発達検査法,医歯薬出版,2010
・上杉 雅之, 高田 哲, 徳久 謙太郎, 嶋田 智明, ビデオ情報によるAlberta Infant Motor Scaleの信頼性に関する研究, 理学療法科学, 2006, 21 巻, 2 号, p. 137-141

・Bartlett DJ, Fanning JEK: Use of Alberta infant motor scale to characterize the motor development of infant born preterm at eight months corrected age. Physical & Occupational Therapy in Pediatrics, 2003, 23:31-45
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