MACSとは?
・Manual Ability Classification System
➡(脳性麻痺児の)手指操作能力分類システム
・MACSは脳性麻痺のある子どもの、日常生活活動場面における「手指操作能力」を分類するために開発されました。
・子どもの年齢にふさわしい物の取り扱い方(手指で物をうまく操作する力)のレベルを知ることができます。
例:おもちゃなどでの遊び方、余暇活動、食事場面、衣服の着脱場面など
尺度と開発
・順序尺度(レベルⅠ〜Ⅴの5段階)
・スウェーデンの大学に所属している様々な職の人たちがチームを組み、開発した評価尺度です。
適応年齢
・4~18歳
MACSの特徴
・MACS は子どもの自発的な手指操作能力のレベルを分類します。
・例えば…子どもの自然な生活空間における、物の操作を評価することができます。
<生活空間?>
▶ ここでの「生活空間」とは、子どもの身体を取り巻く周辺空間のことを指し、子どもの手が届く範囲の空間のことです。
<物の操作?>
▶ ここでの「物の操作」とは、食事や衣服の着脱、遊び、字を書くこと等のような実際の生活と密接に関連するもので、年齢にふさわしい主要な物の操作を指します。
・普段の生活場面において、子どもの能力が「どのレベルにあたるのか」を判別することに、焦点を当てています。
評価のポイント
①子どもが毎日の生活場面で必要な、課題を遂行する際の手指操作能力を見る |
②その際に必要な援助を調べる |
③うまく適応するための環境調整の度合いを調べる |
*「どのような場面ならば、その子どもは自立しているのか」「ある動作をするには、どのような援助がどの程度必要なのか」などをもとに、評価します。
実施時の留意点
・対象の子どものことを「よく知っている人物」や「子ども自身」に質問をし、「どのレベルに当てはまるか」を判別する必要があります。
・子どもの動機づけや認知能力、年齢は、「物を操作する能力」に影響を及ぼすため、レベルの判別にはこれらを考慮したうえで判断する必要があります。
➡ 対象の子どもが、より高い潜在能力をもっていたとしても、意欲が低く、課題を理解できずに援助を継続的に必要としている場合には、実際の遂行能力に基づいて分類しなければなりません。
レベルの判別方法
・MACSのレベルごとに記載されている事項に対して、対象の子どもが「当てはまるかどうか」を確認します。
➡ 当てはまっている場合は、対象の子どもはそのレベルか、さらに一つ上のレベルに分類されるかもしれません。
・記載事項を遂行できない場合には、ほぼ確実にそのレベルよりも下のレベルに分類されます。
5つのレベル?
*MACS手引き(日本語訳 今川忠男先生)をご参照のうえ、ご使用ください。
MACSに対する私見
・臨床においては、特に作業療法士(OT)や理学療法士(PT)などのコメディカルが使用することが多いと思います。
・初回にGMFCS(粗大運動能力分類システム)やGMFM(粗大運動能力尺度)といった、様々なアセスメントを通して多角的にお子さんを理解し、リハビリの計画を立てたり、治療的効果を調べたりすることにつなげていくことが大切です。
・その他にも、PEDI(リハビリテーションのための子どもの能力低下評価法)やWee-FIM(こどものための機能的自立度評価法)などを使用し、日常生活の遂行能力や状態を把握し、基礎的な能力と生活遂行能力を互いに関連させながら、子どもを理解していくことが必要です。
<参考文献>
・https://www.macs.nu/(*日本語訳版のpdfを参照)
・Eliasson AC, Krumlinde-Sundholm L, Rösblad B, Beckung E, Arner M, Ohrvall AM, Rosenbaum P. The Manual Ability Classification System (MACS) for children with cerebral palsy: scale development and evidence of validity and reliability. Dev Med Child Neurol. 2006 Jul;48(7):549-54.