第41回 OT AM11
問題11.左片麻痺患者の車椅子座位の写真を次に示す。誤っているのはどれか。
ア.肘台のクッションの上に左前腕を載せる。
イ.車椅子にカットアウト・テーブルを設置する。
ウ.両大腿部の下に折りたたんだタオルを敷く。
エ.右股関節をスカートガードに近づける。
オ.足台の高さを通常より低くする。
1.ア、イ
2.ア、オ
3.イ、ウ
4.ウ、エ
5.エ、オ
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答え:5(エとオが誤っている)
ポジショニングのポイント
・左右対称な姿勢が目標
・支持基底面を広くする
・タオル等で体を接地させて分圧(褥瘡予防)
ア.肘台のクッションの上に左前腕を載せる:〇
➡症例の姿勢は「肘が落ちている」ことで左右非対称な姿勢となっているため、左前腕をクッションに載せることで修正します〇
イ.車椅子にカットアウト・テーブルを設置する:〇
➡カットアウト・テーブルを取り付けることで、そのテーブルを上肢の支えにし、姿勢を起こして正すことができます〇
ウ.両大腿部の下に折りたたんだタオルを敷く:〇
➡車椅子の座面をみると、①大腿部から膝までがやや浮いているように見え、②シート座面の中央あたりが左足の形に凹んでいます。
➡タオルを敷くことで接地面を増やして支持基底面を広くしたり、大腿部の遠位側をタオルで補高することで深く座ることにも繋げられるため、正しいです〇
エ.右股関節をスカートガードに近づける:×
非麻痺側である右股関節を「スカートガードへ近づける」ことだけで、適切な姿勢に導くことは難しいです。実際にこの図の姿勢をとってみて、右股関節のみをスカートガードに近づけてみてください。
何も変わらないばかりか、麻痺手を右足で巻き込んでしまうでしょう。×
オ.足台の高さを通常より低くする:×
足台を下げると、股関節および膝関節が伸展方向へ動くため、足底接地(足台で荷重を受け止める)がしづらくなります。つまり姿勢が崩れやすくなります。×
第41回 OT AM12
問題12.25歳の男性。事務職。外傷性脳損傷後5か月経過。明らかな麻痺はなく、いつも落ち着きなく動き回る。些細なことですぐに怒り出し、軽度の記銘力障害がある。作業療法の指導で正しいのはどれか。
ア.メモを利用する。
イ.怒ったときは本人に詳しく理由を聞く。
ウ.慣れたことより目新しい課題を設定する。
エ.定期的に受傷前の職場に通う。
オ.作業工程を短く区切って指示する。
1.ア、イ
2.ア、オ
3.イ、ウ
4.ウ、エ
5.エ、オ
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答え:2
外傷性脳損傷の国試ポイント
外傷性脳損傷の国試ポイント
・前頭葉や側頭葉の問題が現れることが多いため症状特徴を把握しておく必要があります。
①記銘力障害(記憶障害)
②注意障害
③人格障害
④コミュニケーション障害
⑤情緒障害 などが起こり得ます。
ア.メモを利用する:〇
上記の①記銘力障害(記憶障害)ゆえに、メモをとることは重要です〇
イ.怒ったときは本人に詳しく理由を聞く:×
➡①記銘力障害(記憶障害)、②注意障害、④コミュニケーション障害、⑤情緒障害 から、怒っているときに詳しく理由を聞くことは難しいです×
ウ.慣れたことより目新しい課題を設定する:×
➡①記銘力障害(記憶障害)、②注意障害 から目新しい課題の実施は難しいです×
エ.定期的に受傷前の職場に通う:×
➡現在の症状がみられる中で、定期的に受傷前の職場に通う必要性は低いです×
オ.作業工程を短く区切って指示する:〇
外傷性脳損傷では、①記銘力障害、②注意障害 ゆえに、作業工程を短く切ることは重要です〇
第41回 OT AM13
問題13.体幹の筋緊張が低い脳性麻痺の乳児を抱きかかえる方法で適切でないのはどれか。
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答え:3(適切でないもの)
問題のポイント
選択肢1,2,4,5は、自身の体や上肢を使って子どもの姿勢が「崩れないよう」支えていますね。
➡選択肢3のみ、背中をフォローしておらず、体幹をコントロールできないフロッピーインファントの場合は後方へ崩れてしまいます。
そのため選択肢3が適切ではない姿勢となります。
フロッピーインファントの国試ポイント
・乳児期に筋緊張が低い子どものことを「
フロッピーインファント」といいます。
・ダウン症候群(21トリソミー):常染色体21番目の異常
・Prader-Willi症候群(プラダーウィリー):常染色体15番目の異常
・失調型/アテトーゼ型の脳性麻痺
・Werdnig-Hoffmann病(脊髄性筋萎縮症の1種)
・福山型筋ジストロフィー などは、フロッピーインファントを呈する疾患です
第41回 OT AM14
問題14.53歳の女性。パーキンソン病。ヤールの重症度分類ステージⅢ。薬物コントロールができ次第退院予定である。作業療法で適切でないのはどれか。
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答え:3(適切でないもの)
Yahr(ヤール)の重症度分類
ステージⅠ:体の片側のみに振戦、固縮あり(生活機能障害度Ⅰ度)
ステージⅡ:体の両側に振戦、固縮、寡動・無動がみられる(生活機能障害度Ⅰ度)
ステージⅢ:明らかな歩行障害、姿勢反射障害、突進現象あり(生活機能障害度Ⅱ度)
ステージⅣ:起立や歩行などの日常生活動作が著しい低下し、労働が難しい状態(生活機能障害度Ⅱ度)
ステージⅤ:介助による車椅子 or ほとんど寝たきりになる(生活機能障害度Ⅲ度)
・この問題では「ヤールのステージⅢ」であることから、活動がやや制限されるレベル。一人での生活は何とか可能(症状:姿勢反射障害)時期であることがわかります。
1.〇
➡手すりを使用した階段昇降練習であるため、姿勢反射障害があるステージⅢの場合は、手すりを用いることが重要であり適切。
2.〇
➡両側に固縮がみられているステージⅢでは、体の動く範囲を拡大していく活動が重要であり適切。
3.×
狭い範囲での微細な活動や巧緻動作は、固縮を助長したり、振戦の影響を受けやすいため不適切となります。
4.〇
➡両側に固縮がみられているステージⅢでは、体の動く範囲を拡大していく活動が重要であり適切。
5.〇
➡両側に固縮がみられているステージⅢでは、体の動く範囲を拡大していく活動が重要であり適切。
第41回 OT AM15
問題15.小脳運動失調症患者への作業療法で適切でないのはどれか。
1.緊縛帯
2.コックアップ・スプリント
3.重錘
4.スプリングバランサー
5.磁石付リストバンド
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答え:4(適切でないもの)
小脳運動失調症の特徴
・ふらつきや歩行障害(失調性歩行)
・呂律が回らない、言葉が滑らかに出ない
・指先を使う細かな動作が行えない(運動失調)
・体幹失調(姿勢の維持が困難)
・眼振(目が細かく揺れる)
1.緊縛帯
➡失調を軽減させる目的で、弾性包帯を使って緊縛帯を巻き、動きに抵抗を与える方法です〇
2.コックアップ・スプリント
➡スプリントで手関節を固定することで、失調症状を抑える方法です〇
3.重錘
➡手関節に重りを巻き付けることで抵抗を増やし、失調症状の軽減や手の深部感覚を受け取りやすくする方法です〇
4.スプリングバランサー
スプリングバランサーの適用疾患はほぼ決まっており、国試ではその疾患をしっかりと覚えておく必要があります。筋肉が脱力・弛緩している場合に使用します。
スプリングバランサーの適用
・高位脊髄損傷
・筋ジストロフィー
・筋萎縮性側索硬化症
・ギランバレー症候群 などが適用される福祉用具です。
5.磁石付リストバンド
➡手関節に巻いたバンドに磁石を付けることで固定し、失調を軽減する方法です〇