【解説】第41回 作業療法士 専門問題 午前6-10【実地問題】

 

第41回 OT AM6

問題6.脳出血時の頭部CTを示す。誤っているのはどれか。

 

1.くも膜下出血

2.尾状核出血

3.小脳出血

4.脳幹出血

5.被殻出血

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答え:2

CT(出血)のポイント
い(Shiroi)血(Syukketsu)

い(Kuroi)塞(Kousoku)

1.くも膜下出血:〇

➡くも膜下出血では、「くも膜下腔」に出血がみられます。選択肢1の図では、白くなっている部分(出血部分)はちょうど「くも膜下腔」にあたるため、この形を覚えておくと良いでしょう。

2.尾状核出血:×

 
側脳室(前角)に沿うように位置するのが「尾状核(頭部)」です。
選択肢2(下図)では、白色(出血部分)が尾状核付近ではなく、視床付近で発生しているため、選択肢2が誤りとなり、答えは「」です。

 

3.小脳出血:〇

➡小脳は両眼が写り込む断面図でよく見ることができます。出血部位は小脳と一致しているため、〇となります。

4.脳幹出血:〇

➡真ん中に「脳底動脈(黒い所)」と「中脳(ミッ〇ーっぽい形)」が見られ中脳レベルの断面とわかるため「中脳(脳幹)出血」

5.被殻出血:〇

➡出血部位は被殻の部位と一致しています〇

 

大脳基底核の位置側脳室の位置は頻出なので、必ず覚えましょう。

 

重要ポイント(脳出血の好発部位)

1位:被殻出血脳出血の約半数を占め、「被殻」は最も多い出血部位です。
2位:視床出血約3割にみられ高齢者に多く発症します。

3位:小脳出血約1割にみられます。
3位:脳幹出血(橋出血)約1割にみられます。

 

第41回 OT AM7

症例問題
55歳の女性。右利き。脳梗塞による左片麻痺。発症15日目のブルンストローム法ステージは上肢Ⅲ・手指Ⅲ・下肢Ⅲ、左足にクローヌスと内反尖足を認める。感覚障害や高次脳機能障害はない。

問題7.早期に移動能力を獲得するために適切な装具はどれか。

1.靴型装具

2.短下肢装具

3.硬性膝装具

4.長下肢装具

5.骨盤帯付長下肢装具

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答え:2

問題文のポイント

・発症15日目…急性期 ・左足にクローヌス…下腿三頭筋の痙性↑

・内反尖足…接地・安定のためには足関節への支援が必要

・ステージは全て「Ⅲ」…痙性が一番高い時期

➡これらのことから、足関節を安定化させる(コントロール、制御する)ための装具の優先度が高いことがわかります。

 

1.靴型装具:×

足部の矯正や痛みを和らげる目的で用いられるため、足関節の安定が目的ではありません

2.短下肢装具:

 
足関節のみの安定・制御が目的であるため

3.硬性膝装具:×

➡膝の過伸展や膝折れの予防を目的としている装具であり、足関節の安定が目的ではありません

4.長下肢装具:×

➡足関節だけでなく、膝関節の制御にも作用するため×。

5.骨盤帯付長下肢装具:×

足関節だけでなく、膝関節や股関節の制御にも作用するため×。

 

 

第41回 OT AM8

症例問題
55歳の女性。右利き。脳梗塞による左片麻痺。発症15日目のブルンストローム法ステージは上肢Ⅲ・手指Ⅲ・下肢Ⅲ、左足にクローヌスと内反尖足を認める。感覚障害や高次脳機能障害はない。(問7の説明同様)

問題8.作業療法開始2週後、左片麻痺はブルンストローム法ステージ上肢Ⅳ・手指Ⅳ・下肢Ⅳに改善し、装具を用いて屋内歩行が自立した

麻痺側上肢の使用を促すための作業療法で適切でないのはどれか。

1.左手でテーブルの雑巾がけをする。

2.左手で持った針に右手で糸を通す。

3.左手で持ったゆで卵の殻を右手でむく。

4.両手で電気掃除機を操作する。

5.両手で頭上の高さに洗濯物を干す。

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答え:5

解くときのポイント
・この問題のポイントは「BRSステージⅣの動きの範囲内で、麻痺側上肢の使用を促す」もののうち、誤っている(×)ものを選ぶことです。

1.左手でテーブルの雑巾がけをする。:適切〇

➡麻痺側上肢(左手)の使用を促しています。

2.左手で持った針に右手で糸を通す。:適切〇

➡麻痺側上肢(左手)の使用を促しています。

3.左手で持ったゆで卵の殻を右手でむく。:適切〇

➡麻痺側上肢(左手)の使用を促しています。

4.両手で電気掃除機を操作する。:適切〇

➡麻痺側上肢(左手)の使用を促しています。

5.両手で頭上の高さに洗濯物を干す。:適切でない×(これが正解)

BRS-Ⅳではこの動きは不可能であるため×。この動きはBRS-V以上で可能ですね。

 

第41回 OT AM9

問題9.53歳の男性。脳出血による右片麻痺。ブルンストローム法ステージは上肢Ⅳ・手指Ⅲでやや痙縮が強い。麻痺側でコップの水を飲んでもらったところ図1のような反応がみられた。 このような反応を軽減するための訓練として図2のような動作を行う際に注意すべき点で適切でないのはどれか。

1.麻痺側上肢の運動に抵抗をかける。

2.麻痺側肩関節は外旋位に保持する。

3.非麻痺側上肢をリラックスさせる。

4.麻痺側肩甲帯の前方突出を保持する。

5.頸部と体幹は軽度屈曲を保持する。

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答え:1

解くときのポイント
図1:コップ使用時の不良姿勢 をみると、

①肩関節外転・外旋

②膝関節屈曲

③前腕回内

④手関節掌屈位

⑤肩甲骨後退・挙上

⑥頸部は右伸展・回旋

といった屈筋共同運動パターンがみられ、症例はBRS-Ⅳであることから分離運動を促していく時期とわかります

1.麻痺側上肢の運動に抵抗をかける:×

 
コップを使用時に、[図1]の不良姿勢となっています。
よって、麻痺側の抵抗運動は痙性を増強させることに繋がってしまうため、「1」が誤り(正答)となります
。。

2.麻痺側肩関節は外旋位に保持する:〇

➡[図2]では、頸部・体幹・肩関節のが屈筋共同運動パターン時に、肘関節の分離運動を行っていることがわかるため、肩外旋位で保持することは適切(肩外旋:屈筋共同運動パターン時に、肘の分離運動を行う必要があるため)

3.非麻痺側上肢をリラックスさせる:〇

➡非麻痺側の筋緊張は連合反応として対側に影響するため、リラックスは必要です

4.麻痺側肩甲帯の前方突出を保持する:〇

➡動作時に肩甲帯が後退しているため、防ぐためには前方突出を保持する必要があります〇

5.頸部と体幹は軽度屈曲を保持する:〇

➡[図1]の不良姿勢では、頸部と体幹が伸展位となっているため、[図2]の肢位のように屈曲位で肩関節と肘関節の分離運動をおこなうことは適切です〇

 

 

第41回 OT AM10

問題10.左片麻痺のブルンストローム法ステージと作業療法との組み合わせで適切でないのはどれか。

 ただし、ステージは上肢・手指の順とする。

1.Ⅱ・Ⅱ

2.Ⅲ・Ⅱ

3.Ⅲ・Ⅴ

4.Ⅳ・Ⅲ

5.Ⅳ・Ⅴ

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答え:2

ブルンストロームステージ(BRS)のポイント

ステージⅠ:筋肉が弛緩しており、意図的には動かせない

ステージⅡ:わずかな筋収縮がある

ステージⅢ:痙縮の増加や共同運動が著明に出現する

ステージⅣ:痙縮が低下し、分離運動が現れる

ステージⅤ:分離運動が進む

ステージⅥ:分離が進み正常に近づく

1.Ⅱ・Ⅱ:〇

➡上肢・手指ステージⅡでは「わずかな筋収縮(痙性が出現してきた)」状態であるため、机上課題時に左手(麻痺側)を固定として置いて作業は可能です。

2.Ⅲ・Ⅱ:×(適切ではない)

 
上肢ステージⅢのとき、選択肢2の図のように左上肢(麻痺側)の肩関節90度上げることは難しいため不可です×

3.Ⅲ・Ⅴ:〇

➡手指ステージⅤは、「筒(状)にぎり」や「球にぎり」、「対向つまみ」が可能となるステージであり、適切〇

4.Ⅳ・Ⅲ:〇

➡上肢ステージⅣでは、「選択肢4の図」のような形で上肢の可能な運動範囲内で分離運動を促して行く必要があるため、適切〇

5.Ⅳ・Ⅴ:〇

➡手指ステージⅤは、「筒(状)にぎり」や「球にぎり」、「対向つまみ」が可能となるステージであり、積み木などをつまむ動作を通して分離運動を促通していくため適切〇

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